shamrock 1 留学準備
  
〜 29 years old  

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4月吉日 青天の霹靂

 それは突然の決定だった。
 今年の夏"も"アイルランドに旅行する、これは昨年夏にアイルランドに行く前からの決定事項だった。寒い冬が終わり4月になるや否や、オートマ車のギアのように、頭の中はスキー・温泉モードからアイルランドモードに自然に切り替わっていた。
 でもなぜアイルランドに行くの?なんて考えたことはない。だから今まで多くの人に聞かれたが、依然明確な回答をしたことがない。だから一応、”その質問のその答えを探しに行くんだ”と言うことにしている。自分で言っててもよく判らないが。

 で。GW直前の金曜日、いつもの英会話スクールで珍しく待ち時間があったため、何気なく受付付近のパンフレットを眺めていた。すると、1枚の小冊子が目に留まった。

  ”英会話の○○ 海外語学留学”

 それまで語学留学は1年くらい時間があいている人がやるものだと信じ切っていたのだが、何となく時間つぶしに冊子の中身を見た途端、全てが変わったのだった。
 ”最低1週間から” ”社会人歓迎” そして ”アイルランド” の文字。

 そうか、そういえば今年は一カ所滞在型の旅行をしたかったんだ。
 英語をもっと話す機会も、現地の人と話す機会も増やしたかったんだった。
 僕が今年最もしなくちゃいけないのはこれだ!
…と、半ば強引な論法で結論に至るまで、それほど時間はかからなかった。
30歳になる前に一度しておきたいこと。それが最後の決め手だった。

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5月初旬 エージェント・留学先決定

 パンフを持ち帰った翌日には、インターネットを通じて2、3のエージェントに目星をつけていた。何故か知らないけどその時点で、きっかけを作った英会話の○○をエージェントに、という考えは微塵もなかった。その中で−結果的に最も良い選択だったと自覚しているが−某アイルランド現地法人のエージェント「ニチアイ」*を選んだ。

 エージェントにメールを出したのが5月8日で、その時はさすがに2週間の休みは無理かなと思っていたので、1週間から入学できるところを探していた。が、1週間で何ができるんだろうという自問自答の末、わずか5日後には、課内全員に2週間の夏期休暇を取ることを宣言していた。誰よりも先に夏のスケジュールを宣言するという作戦で、2週間の休みを幸いにも確保できた。

 てなわけで休みを2週間取れるとなると選択肢が増えてしまった。さて困った。困った割には、15日には行き先を決めていた。結局最初に目星をつけた、クレア州はCorofinにある”Clare Language Centre”に行くことにした。
 そこは前評判では・・・とにかくすっごい田舎にあるということだった。
*ニチアイさんには本当にお世話になりました。宣伝ではないですが、ここはアイルランド方面専門(最近は英国留学もはじめました)の留学手続き代行エージェントで、余分な手数料を取らない・情報量が豊富で懇切丁寧かつ的確な対応をしてくれる・現地サポートがある等、素晴らしい心遣いです。興味がある方はこちらをクリック

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6〜8月 下準備

 短期とはいえ初めてのホームステイであるし、旅行じゃなくて留学なんだから、留学のための準備をしなくては、と思ったが、何が留学・ホームステイのための準備なのか全く判らず、とりあえず8月までの3ヶ月間は、英語のリスニングテープを聴き、英語に慣れる訓練をした。
 また、持ってるアイルランドに関する本を一通り読み返しつつ、さらに新たにアイルランド関連の本5、6冊とCD3、4枚を買い、アイルランド友の会からクレア州の音楽に関するビデオを借りたりして、アイルランドやクレア州に対する興味を高めていった。

 クレア州は様々な顔を持っている。最近まで移民・都市部への人口流出による過疎に悩まされてきた一方、伝統音楽がなお受け継がれてきており、ウィリー・クランシーマイコー・ラッセルシャロン・シャノンらの達人を排出した州でもある。
 また一方、アイルランド独立の象徴とも言うべきオコンネルやデ・ヴァレラが選出された州でもある*。州内にも、昔ながらの伝統音楽が息づく村、伝統音楽が商業化されている村、マッチメーキングの村、そしてバレンとモハーとドルメンなどなど。。。そんな州の中にぽつんとある田舎村Corofinの人々の生活や学校生活に対して様々な想像を巡らし、期待は膨らんでいく。これが最大の下準備。

 ホストマザー決定後はホストマザーに手紙を書いたり、旅行・留学代金支払いを済ませたり、デジカメを買ったり、"Yahoo! Mail" を取得したり、お土産を買ったり、業務引継ぎしたりと、一通りの旅行準備を進めていった。

 円からアイリッシュポンドには、たぶん日本で唯一常時取り扱っている、香港上海銀行で換金した。来年からはユーロになるので換金の心配も減るんだなと思うと便利な反面、自国の象徴的なデザインが入った紙幣が無くなるというのは寂しい気もする。
* ダニエル・オコンネルおよびイーモン・デ・ヴァレラはクレア州で選出されているが、クレア生まれではない。オコンネルはケリー州、デ・ヴァレラはアメリカ生まれである。そもそもそいつらは誰だ、知りたいぞ、という人には、「物語 アイルランドの歴史(中央公論社)」がお勧め。別にそうまでして知りたくない、という人は、下記説明を参照。


<オコンネルとデ・ヴァレラに関するちょっとした補足>

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