shamrock 2 北アイルランドバスツアー3 <8月25日>




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行程 : デリー→ジャイアンツ・コーズウェイ→ベルファスト

 旅の3日目は、北アイルランドのハイライトともいえるジャイアンツ・コーズウェイに向かう。朝のうちは少し降っていたが幸い天気は好転してきた。もっともアイルランドにおいてはっきりとした「晴れ」や「雨」を期待するのはおかしいのだが。

 まずはDunluce Catsleに向かう。お城のガイドさんからこのお城にまつわる歴史ドラマを聞きながら(半分も判らなかったが)、昔確かに行われていたはずの大宴会や大釜戸を使った料理風景に想像を巡らす。途中、石の階段で頭をぶつけこぶができたが、ここで何世紀もの間に何百人もの人間が頭をぶつけたんだろうな、と思うと感慨深くもあり、腹立たしくもある。せめて築3年目くらいで、「この天井は低すぎるから高くしよう」とは思わなかったんだろうか。
 

Dunluce Catsle

バスの窓越しに見たDunluce Catsle
 途中ブッシュミルズに一瞬立ち寄った後さらにバスでしばらく進み、いよいよジャイアンツ・コーズウェイに着いた。車中ツアーガイドさんはコーズウェイにまつわる有名なケルト神話*をエネルギッシュに話されていた。
 現地に到着してもすぐには六角柱を見ることはできない。まずはシアターで簡単な上映を見て、それから40分ほどのハイキングコースを歩くことになる。次の移動まで90分の猶予があったが、"ちゃんと"堪能しようと思ったらとても足りなかった。
 ともかく崖の上にあるビジターセンターから海岸に向かって歩いていかないといけない(バスでも行けるが、実も蓋もないし)。幸いにして雲が晴れ、ぽかぽかした陽気の中、てくてくとハイキングコースを歩き出した。
 途中途中で崖から海を見下ろせる場所があり、最初は下を見るのが怖いものの、何度も見てるとだんだん高さに麻痺してくる。むしろその景色の美しさで崖下に引き込まれそうになる。

 Causewayの高く険しい崖。
向こうの突端に人影が見える。


崖の上から六角柱群らしき場所を臨む
 やがて崖を降りれるようになるため、二股を右へ。すると高い石柱が突然姿を現した。さらに進むと、今度は切り立った崖全体に六角柱が連なっている。なんじゃこりゃ?という感想しか出てこないほど、不思議な風景だった。

←↑とにかく絶景・奇景
 奇妙な風景にしばし魅入っていたら、だんだん時間がなくなってきた。そういえば昼食込み90分だった。急ぎ二股まで引き返し、今度は海の方へ向かう。ものの10分も降りないうち、いわゆる写真でよく見る”The Giant's Causeway”が近づいてきた。HP等の事前情報で「意外としょぼい」と聞いていたのだが、そういう前提があったためか、思ったよりスケールは大きく感じた。何よりこんな奇異な風景、過去出くわしたことがない。

 あちこちの石柱に登り、自然が織りなす風景の不思議さを実感する。海から山まで綺麗な六角柱が整然と連なっている。やはり再び、なんじゃこりゃ?という感想しか出てこなかった。

The Giant's Causeway

 The Giant's Causewayの上に登ってみる
 もう少し見ていたかったが、石柱に座り昼食を食べ終わった頃にはあと15分を切っていたため、急ぎビジターセンターに戻った。
The Giant's Causeway近景

 バスに戻ってまたしばらく行くと、今度はCarrik-a-Redeの吊り橋に向かう駐車場に留まった。ここでの時間も90分。またも海沿いのハイキングコースを歩いて、吊り橋に向かう。コーズウェイコーストは全部こういった美しい海岸線を臨める崖になっているっていうことなんだろうか。
 ともかく吊り橋の通行料を2ポンド払い、橋に向かって歩く。この辺の野生ブラックベリーは実も大きく甘酸っぱい。蜂に注意を払いながらブラックベリーを食べ歩いていると、やがて海の影から橋らしきモノが見えてきた。


Carrik-a-Redeまでのハイキングコース。
海の色が美しい

 Carrik-a-Redeの吊り橋。
噂通りそれほど大きくない

 吊り橋までの道のりが長いわりには、吊り橋自体は小さかった。
一方で、人に橋を揺らされると意外と怖いことも判った。
写真を撮ろうとした時に突然揺れ、危うくカメラを落としそうになった。

吊り橋から海を撮ろうと思ったら
橋が揺れバランスを崩した

確かに揺れると危ない

 吊り橋を終えて、一眠りしている間にバスはベルファスト市内に入っていた。寝ている間に目的地に着いてしまうのがツアー旅行の一番のメリットだ。ベルファストはさすが、北アイルランドで一番の都市なだけのことはある。今回はちょっとしか回っていないが、街が広くて近代的であることはすぐに判った。

 夕食までのほんの90分程度の休憩時間に、やらなければいけないことがあった。今日セットダンス**の教室&ケーリーが行われるかもしれない、Oldpark Road という通りの「The Park Inn」なる場所を探し、そこへ行くかどうかを検討することだった。
 とはいえ市内で買い物もしたかったため、ベルファストの市内北方にあるYHから中心部のシティ・ホールまで、寄り道しつつ歩くことにした。途中CDショップに寄ってCDをいくつか購入したが、ダブリンより伝統音楽の品揃えがよいのに驚いた。ダブリンの大手CD屋は、日本だと人口5万人くらいの町に初めてできたCDチェーン店の品揃えに近い気がする。

Belfastの街並み

シティ・ホール。ブロンズの兵隊は誰のために
銃を構えているのだろう
 インフォメーションセンターで地図を手に入れ、Oldpark Roadはすぐに判った。あとは「The Park Inn」がどこかということだが、Innとあるから宿だと思いこんでしばらく探したが見つからず、インフォメーションのフロントで確認したら、「宿じゃなくてアイリッシュパブよ」と言われた。ああそうか。また同時に、「この辺は静かな場所で、旅行者が行くところではないから止めた方がいいわ」と、大学近くの繁華街を勧めてきた。ベルファストだけに行くことを勧めない別の意味を含んでいるんだろうか、などと勘ぐりつつも彼女のアドバイスを振り切り行くことに決めた僕に、バスでの行き方、タクシーの捕まえ方など懇切丁寧に教えてくれた。ベルファスト好印象。

 ツアー最後の夜ということもありみんなでレストランで夕食をとったのだが、申し訳ないと思いつつ「ダンスに行くから先に抜けるね」とイチ抜けして席を立った。スパニッシュのカップルが「私たちも行きたい!」と合流し、3人でタクシーを捕まえ「The Park Inn」へ。着いたら店はガランとしており、カウンターで酔ったおじさん達が4にんくらいで叫びながらサッカー中継を見ていた。あれ??と思いつつも、ここでやるはずと信じて(電話で確認したし)待つこと30分、突然ぞろぞろ人が集まり出した。事前に来てゆっくりギネスを飲む、というような行為はないんだろうか?集まった途端にダンスが始まった。

ツアー最後の夕食なので少し贅沢した
 最初は場の雰囲気を見ておこうと思っていたが、同伴のスパニッシュ(女性の方のみ)が「私も踊りたい!」、という事で参加したため、僕も一緒に加わることにした。スパニッシュの彼女は初めてだったにも関わらずかなりスムーズにポルカを踊っていた。やはりセンスの良さというか、ダンスの土壌があるんだろうか。ベテランも多かったが、カリフォルニア大学からきた学生さん達10人くらいは全員初心者で、複雑な動きの時にはちょっとしたパニック状態になっていた。ダンスの先生(イーモンさん?)も時に大声をあげながら動きを指示していて大変そうだった。そんなわけでちょっとどたばたしたケーリーだったが、何はともあれアイルランドに来て初めて踊れたので、それだけで十分感激だった。

 帰り際タクシーを待っている間に地元のサッカー好きの若者としゃべっていたのだが、「ぶっきらぼう・親切・適当」という映画に登場する典型的ヤンキーみたいな青年で、なんか面白かった。帰りのタクシーの運転手も気さくなお兄さんで、ますますベルファストに好印象を抱いた。
 
ダンスが興じられたパブ"The Park Inn"
 余談だがその日泊まった部屋では、2段ベッドの下で寝ているオーストラリア青年の鼾がすさまじく、しばし眠れなかった。その騒音のすごさに眠れないでいた隣のベッドのオージーが、「キヨ、(下の人を)蹴れ、蹴れ!」と小声で叫んでいたので、試しにベッドの上から踵落としを入れてみたが、全然動じなかった。この鼾攻撃は翌朝まで続き、YHでは寝場所選びが大事ということを実感した。

* これももの凄い乱暴に書くと、スコットランドの巨人とアイルランドの巨人(フィン)の戦いが差し迫っているとき、フィンの奥さんであるウーナが機転をきかせて戦わずしてスコットランドの巨人を追いやってしまったという話。これだと乱暴すぎるので詳細は「Giants Causeway Official Guide」参照。

** アイリッシュダンスというと、70%の方が足を高らかにあげたり靴を鳴らすダンスを想像しますが、セットダンスは通常8人を1グループ(セット)として輪状になって踊る、社交ダンスのようなダンスです(ちなみに残りの30%の人はアイリッシュダンスと聞いても何も想像できない人)。詳細は「CCE Japan」のHPを参照。あとアイルランドで行われるセットダンスのクラスやケーリー(ダンスパーティーみたいなもの)に関する情報は、「Setdancing News」のHPで調べてました。アイルランドに旅行、留学される方で、ちょっとセットダンスに興味がある方は、是非参照してみてください。
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