北アイルランドバスツアー1 <8月23日>
行程 : ダブリン→ドニゴール
さて、初の泊まり付バックパッカーツアーに参加したのだが、基本的にこういうツアーだと同行者やガイドなどとのコミュニケーションを通じた出会いや新しい発見が旅の主要な要素を占める。現に、ほとんどまともに英語でコミュニケーションが取れなかったにも関わらず、彼らとの会話を通じて得たものは大きい。また自由時間でも、景色を堪能するよりも、彼らがどういう会話をしていて、どのタイミングでその会話に参加すことが可能だろうか、といった方に気を取られていることも多かった。
が、それだとほとんどオージー観察日記になってしまうので、あんまりそういう要素は書かずにできるだけツアーで行った「場所」への想い出を中心に記載する。まあほとんど写真集です。
最初のバスストップはTrimという町の廃墟
トリム城を背面からということで、簡単な自己紹介等をすませた後、最初のバスストップであるトリム城へ。13世紀初めに建立されたが今では廃墟になっているNorman Castle*の一つである。
時間もないので城をぐるっと一回りして終了。町並みのかわいらしさが目立っていた。
Trimの町。よく見るとドアがアイルランド
これはCarnbane Eastだそうですが・・・
何の事やら続いてバスはLoughcrewに向かう。ここには数千年前のお墓があるという。小高い丘を登ってしばらくすると石塚が見えてきた。
石室の中は暗くなっており、春分と秋分の日には光が奥の模様を照らすという。古代の人の太陽と暗闇への畏敬の念が伺える。しかしこの説明、4年前のFouknocksにそっくりだなあと思いつつ、しばし鑑賞。
石室にはこんな派手な模様が
ちなみに帰国後写真を見比べ、奥の牧場の形や森の位置まで酷似していることから、「たぶん、4年前に行ったのはFouknocksじゃなくてここ(Loughcrew)だ・・・」と判った。やっぱり行った地名くらいメモっておかないと、後でどこに行ったのかさえ判らなくなる(ただ面倒なので2000年旅行記は直しませんが)。
美しい湖と悲しみの過去を持つ町、
Enniskillenはわずか20分の停車さてしばし走ると、国境近くにさしかかる。ガイドから、今は国境もオープンになり、何の提示もなく通過できるとの話がある。それでも英兵がいたり車の停車くらいはするのかな、と思っていたら、「今国境を過ぎたわ」という声と共に何の速度も落とさず北アイルランドに突入した。あまりに呆気ない通過だった。
その後3回、北と南を通過するのだが、それ以降は一回も境界線がどこの場所かさえ判らぬまま通り過ぎ、ガイドさんすら気がつかない時さえあった。本当に南北の国境は解放されたんだな、ということが実感できる瞬間だった。**
エニスキレンを一瞬で通り抜け、バスはドニゴールへ目指す。北アイルランドより北にありながら共和国に位置づけられる、自然と音楽の豊かな美しい県である。Donegalそしての町を過ぎると、やがて小高い丘の間から美しいドニゴール湾が見えてきた。丘や海が凄いスピードで形を変えていく雲と相まって、ドニゴール独特の神秘的な風景を作り出していた。
バスはさらに海岸線を走り、ゲール語が日常的に使われている「ゲールタハト」地域に入る。Kilcarという町から少し離れたところにあるユースホステル(以下YH)がその日の宿だった。このYHから歩いて海岸まで15分くらいの道のりにある風景は、僕が今までアイルランドに対して抱いてきた幻想的なイメージをそのまま絵にしたような場所だった。
Donegal Bay。雲から差す光が美しかった
雲が晴れる。ここでは全ての風景が神秘的だった
緑の深い小高い丘(ドラムリン?)に咲くヒース、形を変え続ける雲、荒涼とした平原、上り坂を越えると見えてくる海岸、全てが絵になっていた。この県でエンヤやアルタンやクラナドやミホール・オ・ドーナル、トリーナ・ニ・ゴーナル兄妹といった、超一線級のアイリッシュミュージシャンが生まれたことも偶然ではないように思えた。
その日の夜はKilcarの町(村)中にあるパブへ。歌(ギター)とフィドルの2人組の演奏は、(特に歌は)うまい!と思えるものではなかったが、小さな町の暖かさを感じさせるものだった。インストは、地方の特徴だろうか、ジグが多かったように思う。またワルツやハイランド系の音楽もやっていた。何にしろ、こんな田舎でもちゃんと音楽が聴けたのは嬉しかった。
Kilcarのユースホステル付近の牛
* Norman Catsleとは11〜13世紀ぐらいまでの間にノルマン人によって建立されたお城。僕もよく判らないが、詳しい説明は、ノルマン・カースルに関するHP(探すとあるもんだなあ)とかを参照願います。
** 通行の自由というのは良いもんだが、時に弊害もある。北アイルランドからIRAが共和国のドニゴールなどに移動し、そこで武器を隠していることが問題になっているらしい。
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途中退場