小旅行特集
〜 Part3. エニス編



9月8日 エニス(Ennis)

 エニスはクレア州都である。アイルランド土地開放の主導者であり、アイルランドで初めてカトリックの政治家になったダニエル・オコンネルが政治基盤とした地である。一時は過疎化が進んだようだが、ここ数年で再び都市化が進み、人口が激増しているらしい。中心地は小さく入り組んでいるのに対して周辺は取ってつけたように大型ショッピングセンターや新興住宅が立ち並んでいるところからも、最近急激に人が増えていることがうかがえる。そしてもうひとつこの町に関して大事なことは、今はクレアランゲージセンタがこの町に移ったということである。

 8日の土曜日、ひとりこの町を散歩した。賑やかなショッピングセンターや土産物屋、マーケットがあり、歩いているだけで楽しくなる町であった。州都といっても中心地は小さいため、1時間あれば一巡してしまう。またにぎやかなショッピングストリートを川1本はさむと小さい牧場があって牛が草を食んでいたりして、妙にのどかな光景だった。

 エニスでまず先に訪れたのは、エニス・アベイ(Ennis Abbey)だった。フランシスコ派の修道士が13世紀に建立した修道院であり、ここを中心に集落が形成・発展したのがエニスの始まりであるという。いくだらったか、そう高くない入場料を払って、それほど広くはない修道院を時間をかけて見て回る。修道院は廃墟になっているが、一部残っているタワーなどが往時の面影を残している(それとも改築したのかも。無責任ですがよく知らないっす)。
 
 静かな廃墟で少し神妙な気持ちになったが、修道院時代の厳しき、されど平和な時代の生活を想像しようにも想像力も基礎知識も乏しいので、修道院はそのくらいで立ち去り町に戻る。院の中の静けさから再び開放され、そこそこ賑わうマーケット通りの路上市(タイトル画像)などを歩きつつショッピングへ。この町はCorofinと違って、土産物屋もレコードショップもあるし、だからといってダブリン(Dublin)のように目移りするほど店が多いわけでも町自体が大きいわけでもないので、土産を選ぶのにちょうどいい按配だった。エニスを一言で言うと、「感じのいい町」だった。

 そんな風にエニスの暖かい午後を過ごした後、ホストマザーと待ち合わせた駐車場に戻った。
* アイルランドにあるほとんどの修道院はプロテスタント支配下の時代に破壊され、廃墟になってしまっている。特にクロムウェル軍の襲来により、アイルランドの全カトリック建造物に壊滅的なダメージを与えた。詳しくはアイルランドの歴史書を参考にしてください。



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