shamrock 2 7月18日
  



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2000年 7月18日

行程 : イニシュモア島(サイクリング) → ゴールウェイ

 前日あれほど飲んでも、朝起きたらすっきりしていた。この日は絶好のサイクリング日和。無口なB&Bのおかみさんにさよならを告げ、バックを家の中に置かせてもらって、いざレンタサイクルへ。アラン諸島の天候は本などで見聞きして結構雨風を覚悟していたのに、2日間とも恐ろしいほど晴れ渡っている。この太陽が、後に腕や首にやけどを引き起こすのだが、朝の時点ではそんなことは思いもしなかった。
 自転車で、そう広くないイニシュモアの町を東へ西へと進む。目に入る風景は青い空と白い雲、ヘッジの連なりと岩の大地だ。時々小道を入ってみたり、立ち止まって虫の羽音を聞いてみたりする。ツアーもいいが、やっぱり時間に縛られないこういう時間が最高だ。今日は、昨日行けなかった"Seven Churches"や"Beehive Huts"に行ってみよう。

愛車とアラン

イニシュモア島のキリスト
 教会の代わりの臨時集会所だろうか、道にキリストが立っている。マリア像が立っているのはよく見るが、これは珍しいなあ、と思いつつ、先へ。昨日来たドゥン・エンガスの入り口まで着いたので、そこで一休みがてら、家族へのおみやげを買おうと、クラフトショップに入ってみる。

 アラン手織のセーターは高い。マフラーくらいにしておこうと思ったが、これも結構高いし、果たして手織だろうか?という疑問も残った*。店のおばちゃんが商売っ気が強かったこともあって少し嫌だったが、結局買うことにした。この島は観光客に慣れていないのか、それとも本当に失礼な奴が多いのか、時々判らなくなる。もしかして観光客の態度がそうさせているのかもしれないが。
 さて、目当てのビーハイブ・ハットを探す。これは以前ディングルでも見たことがある。蜂の巣のような形をしており、、宗教的な目的で使われていたと思われる住居だ。
 ゲール語読みの看板を頼りに進んでいくが、やがて自転車では行かれないほどの砂利道になり、仕方なく自転車をおいて徒歩で進む。牛や虫に周囲を囲まれ、結構怖い道だ。この島には多くの観光客が現在も滞在しているはずだが、砂利道には誰もいない。それどころか1キロ四方誰もいない感じだ。
 そんな道をしばらく進むと、あれかな?と思える崩れた石の堆積を見つけた。隣に遺跡の看板があるのでかろうじて遺跡だと判ったが、なければただの石置き場だ。
 20世紀も終わりになって人が遺跡だ名所だと言うから、仕方なく看板を立てたけど、そこにたどり着く道までは面倒みきれん、という島の人の思いが伝わってくる、無造作な記念物だ。こういう場所の方が、もてはやされているドゥン・エンガスとかよりもアランっぽいと感じた。

Beehive Hat
遺跡の看板があるから遺跡 

Seven Churches
 さて、結局計1時間近く人と会わなかった遺跡を過ぎ、今度はツアー客が必ず訪れる"Seven Churches"「7つの教会」に向かった。ここはまあ、今まで見てきたいくつかの修道院遺跡同様、当時の修道士達の精力的活動を示す遺跡の一つだった。

 途中通り過ぎた一般住居の廃墟を見ながら、ここもいつかは観光名所になるのだろうか、と考えたりもした。廃墟か遺跡かの違いは、それが昔民家だったか教会だったかの違いだけで、特にアランの人々の生活にとってこの違いは大差ないものだったに違いない。それを無理に区別したのは我々観光客と、観光客で食べるための観光産業の賜なんだろう。今まで印がなかった地図上に観光地の印を付けることが、将来的に本当にアランの人たちに有益なのかどうか、今の僕には判らない。

一番手っ取り早い
家の改築?
 遺跡を見た跡はビーチへ降りてみる。まだ水は冷たいが、プライベートビーチのように人は少なく、水着さえあれば泳ぎたいところだ。自転車に労をねぎらい、砂浜でしばし休憩。至福の一時を過ごした。

 結構な時間こぎ続けた後、やがて出航の時刻が近づいてきた。これからもどんどん観光化するだろうこの島に別れを告げ、再会を約束し、キルローナンの港をあとにした。

イニシュモア島のビーチ
 ゴールウェイに着いたのは18時半をまわっていたが、まだ日は高く、街はアートフェスティバルで活気づいていた。この時期は取れにくいからと、事前に日本で予約しておいたB&B**へ行き、荷物を置いて小休止する。B&Bはタクシーで行かねばならないほど遠かった。が、そんなことで負けてはおれんとすぐに夕飯&パブを目指して出かける。この街は音楽とアートの街。パブの3軒に1軒は演奏があるはずだったから。
 っちゅうことでフィッシュ&チップスを食い、すぐにパブ探しをする。お祭りシーズンなのでどこも混みまくっているが、3軒ほど梯子してお気に入りのパブを見つけた。あとはいい席に着き、ギネスを口に運びながら音楽に耳を傾ければいい。これまた至福の一時。

 パブからの帰り、終バスでとんでもないところで降ろされて道に迷い死ぬかと思ったけど、それはそれとしていい一日だった。
* 後日読んだ本により、イニシュモアのクラフトショップの大半は現地製品ではなく、手織ですらない、ひどいモノだとMade in Ireland ですらないものもあることが判りました。残念なことに、アランセーターの編み手は減少の一途をたどっているそうです。
** ゴールウェイのB&BはエールスクエアのHPで予約しました。

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